今、いるところは: ホーム > 親の会の活動状況 > 平成20年度予算編成に際してのお願い
2007年 9月 3日
北九州市長 様社団法人 日本自閉症協会
福岡県支部 北九州市親の会
会長 伊野 憲治
連絡先:北九州市小倉南区下石田1-17-35
TEL&FAX:
近年、自閉症や関連の発達障害に関しては、その障害特性に応じた個別的対応の重要性が一段と指摘されてきております。
今春、北九州市に北橋新体制が発足し、「ハートフル北九州 政策大綱」が示されました。その重点政策の中で、「子育て支援・教育、福祉、環境を重点に世界に誇るハートフルなまちづくりを目指す。」と明言されており、今後の「障がい者福祉支援の強力な推進」や「特別支援教育の拡充」など幅広い個別政策に対し、大いなる希望と期待を抱いているところです。
そこで、私ども(社)日本自閉症協会福岡県支部北九州市親の会では、前年度に引き続き、来年度の予算について、別紙のような自閉症関連環境整備に関連する要望をとりまとめました。
「発達障害者支援法」に引き続き「障害者自立支援法」の施行を受け、社会全体の関心が高まっている今だからこそ、独自の特色ある多くの施策を講じる時ではないかと考えております。
つきましては、来年度の予算編成にあたり、なにとぞ、ご高配賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(別紙)
2006年 9月 3日
(社)日本自閉症協会福岡県支部北九州市親の会
平成20年度予算編成に当たりましては、以下のような点に、是非とも予算措置を講じていただきたく、お願い申し上げます。
以下の委員会の存続・充実、新設に関し予算を講じて下さい。
上記、二つの委員会に関しては、かなりの成果を得たと考えています。また、その成果を踏まえ、1年間の延長継続が認められた点は、市が自閉症等発達障害者に対する支援に積極的に取り組もうとする姿勢を示したものとして高く評価しています。
そこで、来年度も引き続き上記二つの委員会を存続し、より一層充実したものとするための必要な予算措置を講じて下さい。また、必要な予算措置については、委員会にて今後議論していくシステムを確立する必要があると考えます。
今後の北九州市の特別支援教育の方向性に関しては、いまだ明確な指針が示されているとは言えません。そこで、教育委員会内に、「特別支援教育推進検討委員会(仮称)」を設置し、今後の特別支援教育の在り方について検討するための予算措置をお願いします。また、委員会設置に際しては、各種関連親の会の代表等も委員として参加できるようにしていただき、家庭での教育との一貫性も維持できるよう配慮して下さい。
少なくとも「広域特別支援連絡協議会」や「北九州市特別支援学校の在り方検討会議」の委員として、各種親の会の代表を参加させる必要性を強く感じます。
特に、特別支援教育制度へ移行するにいたった最大の理由の一つは、自閉症に代表される発達障害をもつ児童生徒への支援体制の確立にあります。にもかかわらず、結成後わずか3ヵ年余りで、市内で最大級とも言える70家族を超える正会員数をもち、その9割以上が、小・中学校の児童生徒の当事者をもつ当会の代表が、関連委員会に参加していない現状では、親や家庭のニーズがきちんと反映されているのだろうかとの疑念を抱かざるをえません。
昨年度当会に対しても意見書の提示が求められましたが、今後、どのような形で、発達障害のある子どもをもつ親や家庭のニーズが反映されるのか、各協議会等の委員構成を含め、その道筋に関して、教育委員会として関連の親の会などに説明する責任があると考えます。この点に関しては、今後、親と学校の連携強化を一層進めていく上で必要不可欠です。早急な対応をお願いいたします。
上記事業に関しては、北九州西部地区で実施されていますが、本事業の圏域をより一層拡大するように予算を講じて下さい。モデル事業での成果を踏まえた上でさらなる充実を図るための充分な予算措置をお願いします。
市内にある通園施設に、専門的訓練を受けた保育士を、児童3名に1名の割合で加配するよう予算措置を講じて下さい。
各通園施設に、心理・言語等の専門家を最低1名配置するよう予算措置を講じて下さい。
現在、特別支援学校等では状況が改善されつつありますが、普通学級に通学する児童に対しては、特別な人的配慮が十分とはいえません。また、特別支援学級が設置されている学校も限定されている状況です。そこで、以下の4点につき予算措置を講じて下さい。
近年、自閉症児者に対する療育・教育方法に関しては、めざましい進展が見られます。特に、アメリカ、ノースカロライナ州で州の政策として採用されているTEACCHプログラムに関しては、世界的に高い評価を受けています。しかしながら北九州市では、こうした療育・教育方法を熟知した専門家が不足している現状があります。そこで、以下の2点につき予算措置を講じて下さい。
自閉症や関連の発達障害に関しては、その指導に当たって、障害特性に十分に配慮した対応の重要性が近年特に指摘されるようになってきました。また、研究の目覚しい深化に伴い、こうした障害を抱えた児童生徒に対する指導教育方法にも様々な改善が見られます。そこで、そうした成果を一日も早く、教育現場で、周知徹底し、実践していただくためにも、特別支援教育担当教員に対する自閉症等の発達障害に特化した研修事業のより一層の充実を計るための予算をお願いします。
また、特別支援学校内においては、小学部から中学部以上へと進級するのに伴い、自閉症に対する教育的配慮の低下が見受けられるように感じます。一貫した指導教育方法の質を確保するためにも、バランスのとれた教員配置、研修の充実を希望します。
文部科学省が平成17年度から実施している「特別支援教育推進体制事業」は、厚生労働省の「発達障害者支援体制整備事業」と連携協働の下に実施され、医療・保健・福祉・労働等の関係機関が連携した個別の教育支援計画に基づく乳幼児から就労に至るまでの一貫した支援体制の整備を目指すこととしています。
北九州市では、今年度より、「北九州市発達障害者整備検討委員会」と教育委員会の「広域特別支援連絡協議会」が合同開催され、教育・福祉・医療・労働等の関係諸機関の連携に向けた取り組みが始まったことは、その意味から高く評価できます。
そこで、来年度も、必要な予算措置を講じ、こうした合同会議が少なくとも年4回程度実施されるよう、ご検討下さい。
小中学校、特別支援学校のみならず、特別支援教育に関しては、「教育の北九州方式」と連動させるなどして、幼稚園から高等学校や大学との連携までを対象範囲にすることが重要であると考えます。早期発見・早期療育といった観点からは、幼稚園における特別支援教育体制の充実は急務の課題です。また、特に、一般に軽度発達障害といわれている障害を抱えた人にとって、小中学校までで特別支援体制が終了してしまうのでは、不備といわざるを得ません。積極的に関連諸機関に働きかけ、初等教育から高等教育への一貫した教育支援体制の確立を行うための予算措置を講じて下さい。
いわゆる特別支援学校・学級の担当教員のみならず、一般の教員の発達障害に関する理解は、障害当事者たちの教育環境を整備していく上で必要不可欠です。近年、普通学級に在籍する発達障害をもった児童生徒も増加しつつあるなか、特別支援教育担当の教員の研修のみならず、一般の教員に対する理解促進のための研修事業は、ますますその重要性を増してきているといえます。ある程度の実践指導研修も含めた形での一般教員向け理解促進研修を行うための予算措置を講じて下さい。
義務教育である小中学校のみならず、少子化の影響もあって、発達障害を持ちながらも高等学校へ進学する生徒も増加しつつあります。
しかしながら、高等学校教員の発達障害に対する知識・理解は、極めて遅れた状況です。そのためライフステージを通じた支援の断絶につながっているのが現状です。この状況を打開するため、市・教育委員会としても積極的に市内にある高等学校に対する働きかけを行っていただきたい。その第一歩として、市や教育委員会が主導する形での、市内にある高等学校の全ての教員に対する発達障害への理解と対応を学ぶ研修会を行うとともに、そのための予算措置を講じて下さい。
各学校に、特別支援学校教員・医師・心理士・発達障害者支援センター職員などからなる専門家相談機関あるいはネットワークをあらかじめ組織化し、随時指導を依頼するだけでなく、定期的な(最低、月に1回)巡回指導制度を導入するための予算措置を講じて下さい。その上で、高等学校、短期大学、大学等も含む全ての学校の校内・学内委員会と密接な連携を図りながら包括的な支援体制と専門家からのチェック・助言体制を確立し、教育・支援の質を高めて下さい。
高等専門学校、短期大学、大学など高等教育機関における高機能自閉症者やアスペルガー障害を抱えた人々に対する支援は、現在のところ皆無に近い状況です。高等教育機関における受け入れ態勢を充実するための検討委員会を立ち上げ、必要な支援のあり方に関する提言をまとめ、その提言に沿って施策を展開して下さい。当面、検討委員会立ち上げにかかる予算措置をお願いします。
また、そうした委員会を通じ、高等教育機関へ受け入れ態勢充実に向けての要望を提出して下さい。
北九州市内の大学に、自閉症や関連の発達障害についての専門的研究機関を設置し、あわせて大学・大学院における研究・教育を促進するために予算措置を講じて下さい。
教員と保護者が共通の理解を持った上で、学校教育と家庭教育の連携をより一層充実したものとするために、教員と保護者が共に参加する継続的な研修制度の新設にかかる予算措置を講じて下さい。その際、各種親の会と事前に意見交換を行い、親のニーズにも応える形での実りある合同研修会となるよう心がけて下さい。
自閉症児者のコミュニケーション指導においては、近年、様々な補助器具の使用の有効性が認められています。クォーターアワー・クロック、タイムログ、トーキングエイド等、現場の療育者・教育者・保護者が必要と認める場合は、個別的に配備できるよう積極的な予算措置を講じて下さい。
自閉症に対する理解及び具体的療育・教育方法に関する理解は、保護者にとって極めて重要です。当会等が行っている勉強会・講演会は、その意味で極めて直接的に自閉症児者の生活の質の向上につながっていくものです。しかしながら、すでに70家族以上の正会員数を抱える当会の活動に対する市からのこの面での援助は皆無です。そこで、当会が主催する、以下の2点につき予算措置を講じて下さい。
いわゆる高機能自閉症、アスペルガー症候群、LD、ADHD等の知的遅れを伴わない発達障害児者に対しては、社会的支援が受けられないのが現状です。そこで、以下の2点につき予算措置を講じて下さい。
自閉症児者にとって視覚的情報は極めて重要です。自閉症児者にとってのバリアフリー対策の一環として、市内全域に共通の絵文字による標識の設置をお願いします。
近年、民間の企業等が、社会活動の一環として、敷地の一部の利用など、自閉症児者に対する支援活動への協力を申し出るケースも少なくありません。こうした民間企業の協力は、今後の支援体制充実にとっては特に歓迎すべきことです。しかしながら、民間企業とのコラボレーションに関しては、インフラ的整備も含め少なからぬ財政的負担が生じるのが現実です。そこで、行政としてもこうした民間企業の取り組みに積極的に協力し、必要な財政的援助も含め、産・官・民連携による支援体制充実を計って下さい。
本年度、市主導の下で、啓発パンフレットが完成したことは、自閉症等発達障害の理解にとって非常に意義深いことであったと高く評価しています。しかしながら、発行部数の関連もあり、また一般に行き渡っているとは言いがたい状況です。増刷・配布のためのさらなる予算措置をお願いします。
上記1.のほか、一般の医療機関用(各科ごとの)パンフレットを、専門家に作成してもらい、配布することで、医療機関においても、自閉症や関連の発達障害を抱えた人々が安心して受診できる体制の構築を目差すための予算措置を講じて下さい。
上記1.と同様に、市民センター等で開催されている公開講座等で、全ての市民センターで最低年に1回は一般市民向けの理解促進のための講座を開設し、専門家・保護者を講師として招き、自閉症に対する理解と協力を促すための予算措置を講じて下さい。
上記1.と、同様の理由により、医療従事者に対しても、医師会などの協力を仰ぎながら、最低年に一度は、自閉症及び関連の発達障害に対する理解を深め、対応のあり方を考える、実習も含めた講習会等を実施するための予算措置を講じて下さい。
現在、総合療育センターでは、身障者・重身者に対しては、支援費制度を適応した形でのデイサービス制度が実施されています。しかしながら、自閉症及び発達障害を抱えた人々を対象とする一時預かり等の制度(短期入所制度)は実施されていません。支援費の適用可能な短期入所施設の数を増やすとともに、福祉施設の公平な利用、福祉予算の公平な分配といった観点からも、総合療育センターでもぜひともこの面での予算措置を講じて下さい。
学童等を対象とした、夏休み等長期休暇期間中における関連施設での短期預かり、長期入所預かり枠は絶対的に不足しているのが現状です。早急に枠を拡大するための予算措置をお願いします。
今年度より導入された日中一時支援制度は放課後学童保育・教育への対応として大変有意義なものであると高く評価しております。しかしながら、対象が特別支援学校へ通う児童生徒に限定されたままの状態です。この対象枠を特別支援教室へ通う児童生徒へも拡大するとともに、受け入れ施設の一層の充実を図っていただきたいと強く要望いたします。そのための予算処置をお願いします。
自閉症及び関連の発達障害を抱えた成人が、どのような生活状況におかれており、当事者及び関係者たちがいかなる問題を抱え、ニーズを持っているかに関しては、正確な実態が把握されているとは言えません。そこでまず、自閉症・発達障害支援センターを中心とし、外部の研究機関(大学等)、親の会などの協力も仰ぎながら、早急に、実態調査を実施し、報告書を作成するための予算措置を講じて下さい。
上記4.の実態調査に基づき、自閉症・発達障害支援センター、親の会の意見も取り入れながら、明確な優先順位を決定し、逐次それに対する予算措置を講じて下さい。かつまた、社会資源の公平な分配といった観点から、本件に関しては、実態調査に基づかない予算措置は講じないようお願いします。
現在、北九州市自閉症・発達障害支援センター「つばさ」では、様々な相談、助言をしていただく一方で、家庭や関係機関を訪問し、問題解決・軽減のための支援も行っています。しかしながら、現体制では訪問可能数にも限りがあるなど、支援できる範囲にも限界があると感じます。つきましては、人員補強等による体制強化に加え、市の西部地区に分所を設置するなど、拡充のための予算措置を講じて下さい。
北九州市総合療育センターでは、障害に対する専門知識を持った優秀なスタッフがおり、我々障害のある子を持つ親としては、安心して任せることのできる心強い存在となっております。しかしながら、現在のところ、小児科医の減などにより、かかりつけの変更を余儀なくされたり、予約しても数ヶ月待ちとなるなどの事態が発生しております。つきましては、このような問題を解決するための医療スタッフ拡充にかかる予算措置を講じて下さい。
障害当事者が、可能な限り自立可能な賃金を得て、地域社会で生活できるよう、就労に関し、以下のような予算措置を講じて下さい。
たとえ就労が可能であったとしても、障害当事者に対するその後のフォローアップシステムが確立していない限り、安定した就労を期待できない場合も少なくありません。
そこで、当事者や関係者の必要に応じて、ジョブコーチを派遣するなどの対応が、極めて重要となってきます。必要に応じたジョブコーチ派遣費を予算化して下さい。
ジョブコーチ制度が導入された際には、ジョブコーチの質の確保が重要な課題となります。ジョブコーチには、何らかの形でライセンス制度を導入し、必要な研修・実習を義務化することで、その質を確保して下さい。そのための予算措置をお願いします。
現在、障害者スポーツ関連施設としては、障害者スポーツセンターがありますが、北九州市西部地区(八幡、若松、戸畑)方面に在住している人々にとっては、距離的に利用が難しい状況です。また、多くの障害者にとってニーズの高い水泳等に関しては、年間を通じて恒常的に利用できるのは北九州市立新門司温水プールしかありません。しかしながら、新門司温水プールでは、障害者の使用にあったても、健常者の利用基準が適応されているために、必要な器具等の使用が制限され、実質上の利用が不可能な状況です。障害者にとっても余暇活動、スポーツは、生活の質を確保する上で必要不可欠なものであることは言うまでもありません。しかしながら、現状は、上記の例のように、余暇活動・スポーツを行える環境が十分整備されていない状況にあります。まず、その環境整備の一環として、次の2点の予算措置を講じて下さい。
自閉症や関連の発達障害を抱えた人々に対する余暇活動は、他の障害者に対する余暇活動と質的な相違が存在します。
3年目となる「発達障害児者サポーター支援事業」は、その意味から高く評価されるべき事業であると考えており、今後の継続のための予算措置を強く希望いたします。
その際、これまで行われてきた個々の事業の実績や今後の発展性の有無なども含め、成果を十分検証した上で、今後は、配分方法を再検討して下さい。
特に、内容の充実している事業に関しては、継続的な支援と重点的配分をお願いします。
あわせて、Ⅲ-3.のような、インフラ整備を伴う民間との連携事業にも本事業が適用されるのであれば、助成額の一層の増額をお願いいたします。
自閉症や関連の発達障害児者の兄弟姉妹(きょうだい)は、いつもいい子であることを強いられたり、親に甘えることを我慢したり、学校などでいじめられたり、将来への不安を感じたりと、常にかなりのストレスや悩みを抱えているケースが多いと思われます。よって、当会では、同じ環境にあるきょうだい同士での親睦を図り、将来的には互いに相談したり、励まし合ったりできるようにしたいとの思いから、きょうだいを対象とした余暇活動に取り組んでいます。こうした余暇活動を行っている団体に対する直接財政的支援のための予算措置をお願いします。
また、「発達障害児者サポーター支援事業」にこうした企画が分類される場合には、企画ごとの補助金申請が可能なようにご配慮下さい。