今、いるところは: ホーム > 親の会の活動状況 > 平成17年度予算編成に際してのお願い
2004年 9月 2日
北九州市長 様社団法人 日本自閉症協会
福岡県支部 北九州市親の会
会長 伊野 憲治
連絡先:北九州市小倉南区下石田1-17-35
TEL&FAX:
北九州TEACCHプログラム勉強会
代表 伊野 和子
連絡先:北九州市小倉南区下石田1-17-35
TEL&FAX:
近年、自閉症や関連の発達障害に関しては、その障害特性に応じた個別的対応の重要性が指摘されてきております。「発達障害者支援法」の制定の動きもその一環として位置づけることができます。
そこで、私ども(社)日本自閉症協会福岡県支部北九州市親の会及び北九州TEACCHプログラム勉強会は、現在市内で最大の正会員数を抱える自閉症児者の親の会として、来年度の予算編成にあたり、別紙のような自閉症関連環境整備に関連する要望をとりまとめました。次期国会で制定されるであろう「発達障害者支援法」の趣旨もご配慮頂き、来年度の予算編成に当たり、なにとぞ、ご高配賜りますようお願い申し上げます。
なお、北九州TEACCHプログラム勉強会は、9月7日に開催予定の臨時総会におきまして、正式に(社)日本自閉症協会福岡県支部北九州市親の会の部会となる予定です。本要望書では、両会併記の形となっておりますが、その点、お含みおき頂ければ幸いです。
(別紙)
2004年 8月31日
(社)日本自閉症協会福岡県支部北九州市親の会
北九州TEACCHプログラム勉強会
平成17年度予算編成に当たりましては、以下のような点に、ぜひとも予算措置をこうじていただきたく、お願い申し上げます。
同基本計画策定に当たって、自閉症や関連の発達障害を抱えた人々が、90パーセント以上、地域社会のなかで充実した生活していることで世界的に注目されている、米国ノースカロライナ州に視察団を派遣し、TEACCH部の活動等に学びながら、自閉症や関連の発達障害児者にとっての生涯にわたる包括的支援体制の確立を目指し、今後の基本計画を策定してください。視察団は、市職員2名、自閉症・発達障害支援センター職員1名、北九州市福祉事業団職員2名、教育委員会職員2名、親の会会員3名から構成して下さい。そのための予算措置をお願いします。
市内にある通園施設に、専門的訓練を受けた保育士を、児童3名に1名の割合で加配するよう予算措置をこうじてください。
各通園施設に、心理・言語等の専門家を最低1名配置するよう予算措置をこうじて下さい。
現在、養護学校等では状況が改善されつつありますが、普通学級に通学する児童に対しては、特別な人的配慮が十分とはいえません。また、いわゆる特別支援学級が設置されている学校も限定されている状況です。そこで、以下の3点につき予算措置をこうじて下さい。
近年、自閉症児者に対する療育・教育方法に関しては、目覚しい進展が見られます。特に、アメリカ、ノースカロライナ州で州の政策として採用されているTEACCHプログラムに関しては、世界的に高い評価を受けています。しかしながら北九州では、こうした療育・教育方法を熟知した専門家が不足している現状があります。そこで、以下の2点につき予算措置をこうじて下さい。
自閉症や関連の発達障害に関しては、その指導に当たって、障害特性に十分に配慮した対応の重要性が近年特に指摘されるようになって来ました。また、研究の目覚しい深化にともない、こうした障害を抱えた児童生徒に対する指導教育方法にも様々な改善が見られます。そこで、そうした成果を一日も早く、教育現場で、周知徹底し、実践していただくためにも、特別支援教育担当教員に対する自閉症等の発達障害に特化した研修事業のより一層の充実を計るための予算をお願いします。
現在、文部科学省では、特別支援教育等に関し、専門性向上推進モデル事業指定という制度を設け、指定事業には国からの予算をつけて、当該教育の専門性向上に努めています。しかし、北九州市内の養護学校などからは、自閉症教育等に関し、これまで指定を受けたケースはありません。今後、養護学校が、特別支援教育の要となって重要性を増していくなかで、ぜひとも文部科学省の指定を受け、その研究成果を踏まえ、地域の特別支援教育、自閉症教育の質の向上に貢献していただきたいと考えています。指定申請をする場合には、当該事業に関し、事前にある程度の実績を積んでおくことが必要となることは言うまでもありません。そこで、文部科学省の専門性向上推進モデル事業指定を目指し、自閉症及び関連の発達障害をもった児童生徒に対する指導教育研究事業を、早急に立ち上げてください。そのための予算措置をお願いします。
いわゆる特別支援学校・学級の担当教員のみならず、一般の教員の発達障害に関する理解は、障害当事者たちの教育環境を整備していく上で、必要不可欠です。近年、普通学級に在籍する発達障害をもった児童生徒も増加しつつあるなか、特別支援教育担当の教員の研修のみならず、一般の教員に対する理解促進のための研修事業は、ますますその重要性を増してきているといえます。ある程度の実践指導研修も含めた形での一般教員向け理解促進研修を行うための予算措置をこうじてください。
高等教育機関における高機能自閉症者やアスペルガー障害を抱えた人々に対する支援は、現在のところ皆無に近い状況です。高等教育機関における受け入れ態勢を充実するための検討委員会を立ち上げ、必要な支援のあり方に関する提言をまとめ、その提言にそって施策を展開してください。当面、検討委員会立ち上げにかかる予算措置をお願いします。
北九州市内の大学に、自閉症や関連の発達障害についての専門的研究機関を設置し、あわせて大学・大学院における研究・教育を促進するために予算措置をこうじて下さい。
自閉症児者のコミュニケーション指導においては、近年、様々な補助器具の使用の有効性が認められています。クオーターアワー・クロック、タイムログ、トーキングエイド等、現場の療育者・教育者・保護者が必要と認める場合は、個別的に配備できるよう予算措置をこうじて下さい。
自閉症に対する理解及び具体的療育・教育方法に関する理解は、保護者にとって極めて重要です。当会等が行っている勉強会・講演会は、その意味で極めて直接的に自閉症児者の生活の質の向上につながっていくものです。しかしながら、北九州市で最大の正会員数を抱える当会の活動に対する市からの援助は皆無です。そこで、当会が主催する、以下の2点につき予算措置をこうじて下さい。
いわゆる高機能自閉症、アスペルガー症候群、LD、ADHD等の知的遅れを伴わない発達障害児者に対しては、社会的支援が受けられないのが現状です。そこで、以下の2点につき予算措置をこうじて下さい。
自閉症児者にとって視覚的情報は極めて重要です。自閉症児者にとってのバリアフリー対策の一環として、市内全域に共通の絵文字による標識の設置をお願いします。
自閉症及び関連の発達障害を抱えた人々が地域生活を営む上で最も重要なことにひとつに、地域の人々の理解と協力が必要なことは言うまでもありません。しかしながら、それを促進する働きかけ(啓発活動)に関しては、現在、ほとんど実施されていないのが現状です。そのため、当会では、現在、一般市民向けパンフレットを作成する計画を進めています。作成後は、公共機関や地域サークル、教育施設等を通じて配布し、市民への自閉症や関連の発達障害に対する理解と協力を促していきたいと考えています。そこで、作成及び配布にかかる予算措置をこうじて下さい。
上記(1)のほか、一般の医療機関用(各科ごとの)パンフレットを、専門家に作成してもらい、配布することで、医療機関においても、自閉症や関連の発達障害を抱えた人々が安心して受診できる体制の構築を目差すための予算をこうじて下さい。
上記(1)と同様に、公民館等で開催されている公開講座等で、全ての公民館で最低年に1回は、一般市民向けの理解促進のための講座を開設し、専門家・保護者を講師として招き、自閉症に対する理解と協力を促すための予算をこうじて下さい。
上記(1)と、同様の理由により、医療従事者に対しても、医師会などの協力を仰ぎながら、最低年に1度は、自閉症及び関連の発達障害に対する理解を深め、対応のあり方を考える、実習も含めた講習会等を実施するための予算をこうじて下さい。
現在、総合療育センターでは、身障者・重身者に対しては、支援費制度を適応した形でのデイサービス制度が実施されています。しかしながら、自閉症及び発達障害を抱えた人々を対象とする一時預かり等の制度(短期入所制度)は実施されていません。支援費の摘要可能な短期入所施設の数を増やすとともに、福祉施設の公平な利用、福祉予算の公平な分配といった観点からも、総合療育センターでもぜひともこの面での予算措置をこうじて下さい。
学童等を対象とした、夏休み等長期休暇期間中における関連施設での短期預かり、長期入所預かり枠は絶対的に不足しているのが現状です。早急に枠を拡大するための予算措置をお願いします。
(2)と同様に、放課後の学童保育(教育)の枠も不足しています。その面でもニーズに見合う予算処置をお願いします。
自閉症及び関連の発達障害を抱えた成人が、どのような生活状況におかれており、当事者及び関係者たちがいかなる問題を抱え、ニーズを持っているかに関しては、正確な実態が把握されているとは言えません。そこでまず、自閉症・発達障害支援センターを中心とし、外部の研究機関(大学等)、親の会などの協力も仰ぎながら、早急に、実態調査を実施し、報告書を作成するための予算措置をこうじて下さい。
上記(2)の実態調査に基づきながら、自閉症・発達障害支援センター、親の会の意見もとりいれながら、明確な優先順位を決定し、逐次それに対する予算措置をこうじて下さい。かつまた、社会資源の公平な分配といった観点から、本件に関しては、実態調査に基づかない、予算措置はこうじないようお願いします。
障害当事者が、可能な限り自立可能な賃金を得て、地域社会で生活できるよう、就労に関し、以下のような予算措置をこうじて下さい。
たとえ就労が可能であったとしても、障害当事者に対するその後のフォローアップシステムが確立していない限り、安定した就労を期待できない場合も少なくありません。そこで、当事者や関係者の必要に応じて、ジョブコーチを派遣するなどの対応が、極めて重要となってきます。必要に応じたジョブコーチ派遣費を予算化して下さい。
ジョブコーチ制度が導入された際には、ジョブコーチの質の確保が重要な課題となります。ジョブコーチには、何らかの形でライセンス制度を導入し、必要な研修・実習を義務化することで、その質を確保して下さい。そのための予算措置をお願いします。
現在、障害者スポーツ関連施設としては、障害者スポーツセンターがありますが、北九州市西部地区(八幡、若松、戸畑)方面に在住している人々にとっては、距離的に利用が難しい状況です。また、多くの障害者にとってニーズの高い水泳等に関しては、年間を通じて恒常的に利用できるのは北九州市立新門司温水プールしかありません。しかしながら、新門司温水プールでは、障害者の使用にあったても、健常者の利用基準が適応されているために、必要な器具等の使用が制限され、実質上の利用が不可能な状況です。障害者にとっても余暇活動、スポーツは、生活の質を確保する上で必要不可欠なものであることは言うまでもありません。しかしながら、現状は、上記の例のように、余暇活動・スポーツを行える環境が十分整備されていない状況にあります。まず、その環境整備の一環として、次の2点の予算措置をこうじて下さい。
自閉症や関連の発達障害を抱えた人々に対する余暇活動は、他の障害者に対する余暇活動と質的な相違が存在します。障害特性に十分配慮された余暇活動で無い限り、当事者にとって余暇活動になっていないのが現状です。既存の福祉団体が実施している余暇活動の多くは、必ずしも自閉症等の障害特性を十分に踏まえたものとなっているとは言いがたい状況です。そこで、自閉症や関連の発達障害へ特化した余暇活動が重要となってきます。こうした余暇活動を行っている団体に対しは、既存の福祉団体を通じてではなく、申請に応じて、直接財政的支援を行って下さい。そのための予算措置をお願いします。