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みなさんは、自閉症という障害をご存知ですか? 映画の題材や、テレビドラマ化されることも多いので、聞いたことがあるかもしれません。自閉症はかつて、親の誤った育児が引き起こした病気であるとされてきた時代がありました。しかし、今では、脳の器質的、機能的障害であることが明らかになっています。その障害特性は、脳のメカニズムが周りの人と少し違っているために生じています。自閉症といっても、知的遅れを伴うものから、平均をはるかに超えるIQをもち、一見しただけでは障害を抱えているとは見られないものまで多様です。周囲はもちろんのこと、自分自身でも気づいていない場合すらあります。そうした人々まで含めると、潜在的な自閉症人口はかなりいることが分かってきています。彼ら・彼女らは、通常とは異なった見方で、世界を捉え、生きているのです。彼ら・彼女らと接していると、そのユニークさにしばしば驚かされます。自閉症について考えることは、コミュニケーションの意味や、ひいては人間とは何かという根源的な問いかけにつながっていきます。この企画は、自閉症の理解を通じて、私たち自身を見つめなおすためのものです。
日本自閉症協会北九州市親の会の会長でもあり、実際にこの障害をもつ息子さんの育児を、ほとんど体当たりでされている伊野先生による講義を中心に行っていきます。また、北九州市親の会のご協力により他の保護者の方や、本学大学院社会システム研究科博士課程で、自閉症児者に対する支援のあり方について研究されている大学院生のお話なども、随時盛り込んでいきたいと考えています。ホームビデオによる映像等も紹介いただき、より深い理解につなげていければと思います。
日程及び講義の概要は以下の通りです。関心のある方ならば、どなたでも参加は自由(無料)です。参加希望者はこちらに連絡ください。なお、お越しの際は、最寄りの公共交通機関をご利用ください。
回数 | 日付 | 内容 | 備考 |
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第1回 | 2004年 10月23日(土) | イントロダクション「自閉症とは」 自閉症の診断基準、障害特性等についてお話します。 | |
第2回 | 11月 6日(土) | 「自閉症原因論と療育・教育方法の変遷」 自閉症に対する見方、特にその原因に関する見方の変遷をたどり、それが具体的にどのような形で、療育・教育方法に影響を及ぼしてきたのかを考えてみます。 | |
第3回 | 11月13日(土) | 「療育・教育・支援方法 1」 「療育・教育・支援方法」の1回目として、かつて、自閉症が親の子育てによって引き起こされたものであると考えられていた時代の主流であった「遊戯療法(プレイ・セラピー)」の内容とその限界についてお話します。あわせて、自閉症児・者にとって「遊び」とは何かについても考えてみたいと思います。 | |
第4回 | 12月 4日(土) | 「療育・教育・支援方法 2」 「療育・教育・支援方法」の2回目は、行動分析学や応用行動分析学からのアプローチを紹介します。こうした理論を用いた療法として「行動療法」というのがあるのですが、自閉症をめぐる「行動療法」のあり方の変遷にも注目しながら考えてみたいと思います。 | |
第5回 | 12月18日(土) | 「療育・教育・支援方法 3」 「療育・教育・支援方法」の第3回目は、アメリカのノースカロライナ州で、州の政策として実施されているTEACCH(ティーチ)プログラムについて、お話します。このプログラムは、現在、自閉症児者に対する生涯にわたる包括的支援プログラムとして、世界的に注目されています。そのプログラムのベースとなっているTEACCHの哲学について、詳細にお話します。 | |
第6回 | 2005年 1月22日(土) |
「TEACCHの実践 1」 TEACCHの哲学に基づいた療育・教育・支援方法の根幹は、「構造化」という言葉で表されます。ここでは、「構造化」について具体的に考えていきます。 |
日程変更の可能性あり。 |
第7回 | 1月29日(土) | 「TEACCHの実践 2」 TEACCHプログラムでは、「構造化」を重視しますが、それとともに重要なのはTEACCHプログラムにおけるコミュニケーションについての考え方、実践です。ここでは、TEACCHのコミュニケーションについての考え方や実践を学ぶとともに、人間にとってのコミュニケーションとは何かという根源的問題もあわせて考えていきたいと思います。 |
日程変更の可能性あり。 |
第8回 | 2月12日(土) | 「まとめ」 |
(このページの情報は、企画者の方の許可を頂いて掲載しています)